ホラー映画に必要なのはリアルな「ねっとり感」『遊星からの物体X』

「ハロウィン」「ニューヨーク1997」などのホラー映画の大御所ジョン・カーペンター監督が素晴らしい特撮を使い描く作品は、SFホラーの古典を映画化したものだ。カート・ラッセルが見事な演技を見せてくれる。1982年の冬、南極基地にいる12人の隊員が10万年以上も氷の中に埋まっていたエイリアンを発見する。氷が溶け出てきたエイリアンは、次々と形態を変えながら隊員たちに襲いかかる。

アマゾンプライムビデオより

名前は知っていたけどあまり、というかほとんど内容を知らなかったこの映画。
何か「ヤバイもの」が人を襲うんだろうな〜くらいに思っていたんですけど、実は宇宙人ものだとは思わなかった。

ところで最近ホラー映画ってあまり無いと思うんですよ。
結構好きなんですけどこれも時代の流れなんですかね。
それならより一層名作を観たくなるのは必然。
ということで観てみました。

「逃げられない」と「分からない」は怖いから引き込まれる

簡単な流れとして、

  • ノルウェーの観測隊が犬をヘリで狙撃してる
    →こっちに来て銃撃戦→ノルウェー人死亡
  • ノルウェー観測隊のとこに行ったら変な死体?発見→持ち帰る
  • 犬、覚醒→火炎放射器で焼かれる
  • ノルウェー観測隊とこへ再び行く→宇宙船発見&宇宙人の仕業と気づく
  • 戻ったら一人宇宙人と同化していた→火炎放射器で焼かれる
  • そこから始まる疑心暗鬼と宇宙人との戦い

てな感じでしょうか。

体液一滴でもあれば体に侵入して同化してしまう。
同化完了したら全く区別が付かない。
しかも南極というどこにも逃げ場のない状況。
同化、食われる、次は誰が?というかどいつがバケモノだ?という混乱
こんな状況耐えられませんわ。めちゃ怖い。

特に有名な俳優を使わなかくても話の内容が面白ければグイグイと引き込まれてしまいます。好きな俳優で映画を観るのもいいけど、純粋に脚本だけで釘付けにしてくれる映画も痛快です。
なんというか絵はイマイチだけど話が面白い最近のネット漫画みたいな。

と思ったらカート・ラッセルはなんとなく知ってる俳優さんでした。ちょっと調べたらジョン・カーペンターの作品には結構出てるんですね。

久しぶりに映画における「グロい」ものを観た

一番気に入ったのはグロさですかね。
最近の映画には無いような気がするんで久しぶりに観れて楽しかったです。
もし今の技術で作るならCGで色んなものを作れるんでしょう。それこそたっぷりとリアルに。

でも公開当時の1982年には当然そこまでの技術は無いので実際にバケモノ的なものをセットとして作るわけですよね。
この実写ならではの作り込んだグロさというのがね、いいんですよ。
血とか肉とかよだれ?とかが「ねっとり」しているところとか、質感としてそこにあるわけですから。もちろん作り物感はあるんですけど、このリアルさが「情緒」とでもいうんでしょうか。こういうのってたぶんCGでは出せないんじゃないかなーなんて思うわけです。

ホラーにおける情緒ってのも変な話ですけど、やっぱ必要なんじゃないかな。

あの漫画の元ネタはここだったのか(たぶん)

そして気がついたのがこれを元ネタや小ネタに使っている漫画があるってこと。
パッと思いついたところで

  • 寄生獣
  • ジョジョの奇妙な冒険
  • バスタード

あたりがこの映画をオマージュとして使っているのかなーと。

寄生獣

寄生獣に関しては言わずもがな。
これが元ネタだよねというのはどっかで聞いたことはある気がするんですが、体がガバッと開いて人を食べるなんてのはまさしく。
最初は犬が寄生獣になってるところもまさしく。

ジョジョの奇妙な冒険

ジョジョは第一部の最後の方でディオが首だけになっているところとか触手がピュンピュン出てくるところとか。
というか荒木飛呂彦自身が映画とか音楽好きで漫画の中に色々と散りばめられているのである意味自然といえば自然な流れかと。

バスタード

バスタードはダイアモンがカル=スにやられて首だけになった時、足と羽が生えて逃げるシーンがあるんですね。このシーンもまさしく遊星からの物体Xからでしょうね。
映画では頭部から足が生えてゴキブリのように逃げ出して、まぁ気味が悪いんですよ。でもそれを火炎放射器で殺虫剤のように殺すところとか最高ですね。

 

これらがパクリだなんだと言う気は全くありません。
もちろん完璧なオリジナルで作品を面白くしたらいいんでしょうけど、読んでる人が「あ、これってあれじゃん!」と楽しめる作りになってたらそれでいいと思います。
むしろ作者も分かってやっていると思うし。

 

ところでわざわざ地球にやって来たらそこが南極で、しかも10万年も凍ってしまった宇宙人ってのもなんか間抜けだなぁとも思いますがそこは目を瞑っておきましょう。
それにしても食事しながら観る映画ではなかったね・・・。

遊星からの物体Xの評価は、

公開 1982年
監督 ジョン・カーペンター
主演 カート・ラッセル, ウィルフォード・ブリムリー, T・K・カーター
評価 ★★★★☆
理由 南極という逃げられない状況で誰が「バケモノ」なのか分からないまま膨らみ続ける疑心暗鬼にドキドキする。
何よりCGにはない「ねっとり」したグロさが良い。
アマゾンプライムビデオで遊星からの物体Xを見る→

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