リリー・フランキーの怪演が光る!実際の殺人事件を元にした衝撃作『凶悪』

史上最悪の凶悪事件。その真相とは? ある日、雑誌『明朝24』の編集部に一通の手紙が届いた。それは獄中の死刑囚 (ピエール瀧)から届いた、まだ白日のもとにさらされていない殺人事件について の告発だった。彼は判決を受けた事件とはまた別に3件の殺人事件に関与してお り、その事件の首謀者は“先生”と呼ばれる人物(リリー・フランキー)であるこ と、“先生”はまだ捕まっていないことを訴える死刑囚。闇に隠れている凶悪事件 の告発に慄いた『明朝24』の記者・藤井(山田孝之)は、彼の証言の裏付けを取る うちに事件にのめり込んでいく……。

アマゾンプライムビデオより

こんなタイトルですが、ピエール瀧がコカインで逮捕されてしまいましたね・・・。
電気グルーヴ自体はそれほど聞き込んでいたわけではありませんが、やはり音楽好きな自分としては「え、マジで?なんで?」という気持ちが強いです。

そしてその影響でピエール瀧関連の作品がどんどん止められているのは、やはり納得がいかない。むしろ止めなかったらどんな影響があるの?と問いたいところですね。

ドラッグで逮捕された人の作品に触れる→俺もやろう!

と短絡的につながるかね?
確かにショッキングだけど臭いものに蓋をしてるだけじゃないのかな?
そんなんだったらメンバー全員LSDでラリってたビートルズはどうなるの?

とはいえピエール瀧関連作品が回収されているのは事実。
観ようと思っていたこの作品も早くしないと観れなくなってしまうのかと思い早速観て観ました。

上申書殺人事件をベースにした凶悪事件

えー、開始4分過ぎでピエール瀧演じる須藤がレイプされている女性に覚醒剤を打っています。
その後自分でも使っています。
じいさんに無理やり酒を飲まして殺害するときにも混ぜています。
嗚呼、変にリアルさが増す・・・。

さてさて「凶悪」ですが。

流れが独特ですね。
全体の流れからすると、冒頭のシーンは中盤〜後半あたりの出来事です。
流れとしては、

  • 獄中から手紙が届く
  • 面会して事件を追う
  • 過去のシーン(先生と須藤がどんな犯罪を犯していたのか)
  • 今に戻る

といったところでしょうか。
中盤はほとんど過去のシーンなので山田孝之が再登場した時はその存在を忘れてました。
それくらい「うわー・・・」ってなことをしていましたね。

いや〜こんな人達が本当にいたら怖いわー。と思ったら本当にあった事件が下敷きになっているんですよ。恐ろしや。(上申書殺人事件

リリー・フランキー演じる「先生」の妙な軽さが怖いけどかなりのハマり役です。
死体を処分するのに「燃やしてみたいんだ」とか、スタンガンでじいさんをいたぶるときも心底楽しそうに笑ってるし。
須藤が自分の舎弟を殺させるように言葉たくみに騙す狡猾さ。
そしてこいつはダメだと思ったら切り捨てて次に行こうとする冷徹さ。

見た目や行動の分かりやすい暴力性よりも、こういった頭が良くて冷静に狡猾に動く人の方がより悪人なんだろうなぁ。
タイトル通り凶悪です。よーこんなんできるわー。

 

結局須藤は死刑を回避する最後のチャンスを狙って藤井(山田孝之)を利用したのでしょうかね?藤井はうまく踊らされたことに複雑な気持ちを抱えながらも「あなたは生きていちゃいけない!」と言ったのかもしれません。
結局須藤は死刑から懲役20年の判決になりましたから。

最後まで見ていると凶悪犯は死刑にするのが正しいのか分からなくなってきます。
死刑にすれば溜飲は下がるのかもしれません。
でも生きて罪を償うというのも間違いではないと思うし。

先生は無期懲役で死刑にはならなかったけど刑務所に送ったことで話としては一段落ついたのかな。
もしこれが変に後味の悪い終わり方だったら自分的には名作ですね。

リリー・フランキーもピエール瀧も本業は違うのにね

ところで自分にとってリリー・フランキーはクロスビートでイラスト描いてたイメージが強いです。イラストレーターであることを知ってる人の方が少なそう。
でも近年の活躍ぶりを見るに、そのマルチ過ぎる才能が羨ましいです。

その辺はピエール瀧もかな。
役者や声優としての活躍の方が目につくけど、元々は電気グルーヴのメンバーなんですよ。
でも楽器もできないし曲も作らないしライブでは着ぐるみを着て踊ってるような人ですけど。(歌は歌うけど)

 

残酷だけど観た人の心には何かを残す、引き込まれる作品でした。消えてしまう前に早く観ておいた方がいいかもしれません。
とはいえ、数年経ったらほとぼりが冷めてピエール瀧関連作品は世に出るとは思うんですけどね。

 

それにしてもこんな状況になってしまったので、ピエール瀧が刑務所で山田孝之と面会するシーン。
実際にピエール瀧はあんな感じで誰かと面会するんでしょうか。作品が現実にシンクロするとは皮肉な話です。

そして電気グルーヴはフジロックキャンセルかー。
今年は観れると思ってたのに・・・。

凶悪

公開 2013年
監督 白石和彌
主演 山田孝之、リリー・フランキー、ピエール瀧
評価 ★★★★☆
理由  リリー・フランキーの怪演が素晴らしい。そして、怖い。
事実を元にしてるとはいえこんなことする人がいるとはね・・・。
だからこそより作品に入り込めます。
アマゾンプライムビデオで凶悪を見る→

関連記事

THE 底の浅い映画レビュー 紙の月

THE 底の浅い映画レビュー ワイルド・スピード

「成り上がり」マンチェスター編『オアシス:スーパーソニック』

THE 底の浅い映画レビュー オールドボーイ

ホラー映画に必要なのはリアルな「ねっとり感」『遊星からの物体X』

20年かけて理解できたのは「キレる若者」ってことだった『タクシードライバー』